〈生き方〉コチコチ人間より、アチコチ人間
◎人の心に灯をともす…より転載
https://ameblo.jp/hiroo117/
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☆コチコチ人間より、アチコチ人間
医師、斎藤茂太氏の心に響く言葉より…
父の茂吉は歌人であるが、本業は医者である。父の短歌をかつて「趣味」といって、 烈火のごとく怒られたこともあったが、今ではいい想い出だ。
さて、私もこのような雑文を書いているが、本業は医者である。
ものを書くというの はボケ防止にいい、記憶力もよくなる。
ン十年前、本を書き始めたころ、私も、「よく時間がありますね」と言われたものだ。
医者は医者の仕事に専念していればいい、と先輩にいわれたこともある。
当時は、「こ の道一筋」とばかりに脇目もふらず仕事をする人が立派だという風潮があった。
これも、 だいぶ変わってきたようだが、「この道一筋」を引きずっている人は今なお多い。
このような人は定年退職した後が悲惨だ。
暇な時間はあり余るほどできるが、何をしていいかわからずに、一日をぼんやりと過ごす。
要は、時間の使い方が下手なのだ。
そのために急に老け込んでいくケースもある。
「医者の仕事に専念しろ」と忠告してくれた先輩もありがたいが、もう少し温かい目で 見守ってくれた諸先輩たちを思い出す。
「この本、おもしろかったよ」と言ってくれる 先輩もいた。
お世辞だろうが、そんなひと言でうれしくなるものだ。
「女房が君の本を読んでいてね。サインしてやってくれよ」などと言われた日には、ほくほく喜んでいた自分を思い出す。
単純だったなぁと思うが、そういう先輩たちは、仕事人としての私だけではなく、仕事をし、本も書き、遊びも好きという、ありのままの私を受け入れてくれていた。
その余裕はどこから来ていたのか。
話は単純で、そういう先輩たち自身が、盆栽、ダンス、釣り、俳句、絵画と、それぞれのこだわりの趣味をもっている。
「時間はつくるもの」である。
仕事に忙しい人ほど、真剣になって自分の時間をつくり、 趣味に夢中になれるもののようである。
また、現役時代から時間をつくる、余裕をつくることを心がけてきた人は、充実した老後を送れるようである。
『「あなたに会うと元気になる」といわれる人 (WIDE SHINSHO)』
本書の中にこんな一節があった。
『医者はいろいろな患者さんと会う機会はあるが、どちらかというと、「先生」という 立場に置かれるからか、対等の立場で気軽につきあおうと思っても無理がある。
さらにいえば、医者という仕事は、病院と家の往復と、学会の医者同士のつきあいに終始する場合も多い。
そうなれば、狭い世界を行き来するだけの「コチコチ人間」になるのは目に見えている。
ゴルフが趣味という人も多いが、あれは、仕事の人間関係をひきずっている場合が多い。
ゴルフで親睦を深めて、仕事をスムーズに進めようという計算が見え隠れしている。
もちろん純粋にゴルフ好きの人も多いことは知っているが、趣味に関しては、その人脈で仕事を広げようという考えは捨てることをおすすめしたい。
趣味というのは、仕事に関係ない人と出会えるところがいい。
仕事関係の人とも仕事 を抜きにつきあえるから楽しい。
わが知人の話。
出入りしている植木屋から、家で盆栽教室を始めますから、よかった ら来てくださいと誘われて、「俺も趣味らしいものもないし、年をとってきて盆栽なんてのもいいんじゃないか」と教室をのぞいたそうだ。
どうせ、じいさんばかりだろう......と思っていたのに、教室は三十代の男性や主婦、 高校生までいて、のびのびと明るい雰囲気。
驚いていると、「あら、今、盆栽ブームだって知らないんですか」と、笑われたそうだ。
女性が多いせいでもないだろうが、彼はすっかり盆栽にはまっている。
教室のあとは持ち寄りで飲み会。
商店の店主、学校の先生、主婦......など、今まで飲む機会もなかった人と知り合いになり、アチコチ顔を出しては、盆栽という話題で何時間も盛り上がっている。
年をとれば「仕事の人間関係」さえなくなる。
そのように思う寂しさを思ったら、今のうちから趣味を通して「アチコチ人間」になっておくことをおすすめしたい。』
年齢を重ねれば重ねるほど、同世代の人たちよりも、若い世代の人たちと会う必要がある。
同時に、違う職業や異なった趣味、異性、といった自分とは異質のフィールドの人たちと会うことも大事だ。コチコチ人間より、アチコチ人間
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